高齢者の漢方薬 <漢方相談症例>

夜中のトイレ・尿に勢いが無い・尿漏れ・精力の弱り・渇き・冷え・火照り 【処方】八味丸

まず最初に老化防止の話をしたいと思います。
私達は体も若く、頭も若く、気持ちも若くありたいと思うんですが、 40代後半、 50代に入りますと徐々に老化現象が現れてきます。

年齢、何を一番自覚するかといいますと、よく同窓会なんかに行くと 『お前、髪の毛白うなって・・・』 『お前のほうこそ・・・』 とやります。白髪もそうですが、オシッコ関係で年齢を自覚します。

オシッコに勢いがない少しずつ何回も行く、例えば、隣組の会合があるとする。そうしたら 『ごめんよ』 といって2時間ほどの会合に 2、3 回中座をしなければならない。あるいは、夜中に何回となくトイレで起きる、それで熟睡できない、こんな人もあります。

また、男性は駅のトイレやデパートのトイレにいった時、前の人の後ろに並ぶ事があると思います。そうした時、たまに前の人がなかなか終わらない、後から来た隣の人が先に済ましてしまう。そんな時があります。

おしっこしようと思ってトイレに行こうとする。そうしたらほんの 50メートルほどの距離が辛抱ができなくて途中で漏れてしまう。あるいは、ちょっとお腹に力を入れたり、冷たい氷を含んだりするとちびってしまうとおっしゃる方もあります。また、おしっこが終わったと思って一物をパンツの中にしまいこんだら一滴二滴でてしまう。こんな事もあります。

これを漢方では 『腎虚』 といいます。漢方では腎というのは腎臓・膀胱・生殖器そういった所をひっくるめていいまして、とにかくこの辺りが弱ってくるわけです。こうした、症状には、八味丸というお薬を良く使います。

オシッコの方があかんようになりますと、当然セックスのほうも弱くなります。徳川家康も八味丸を愛用しておったようです。家康はたくさん側室を設けて子供をたくさんつくりました。そして各地の有力大名と数々の縁組をして、天下取りのための地歩を固めていきました。

漢方には 『腎は精を蔵す』 という言葉があるんですが、夜、頑張って精を浪費した分、八味丸で補充をしておったようです。それと家康は信長、秀吉と居たものですから、自分が長生きをしなければ、自分に天下が回ってこないと自覚していたので、非常に健康管理に気を使い、八味丸を老化防止の保健薬、長生きのお薬として愛用していたようです。

やがて、この八味丸、江戸の庶民の間にも広がったようで、『八味丸のんでるそばに古女房』 という江戸川柳があって、江戸の庶民も八味丸を飲んでがんばっていたようです。

前の方が弱ってまいりますと、後ろの方も弱ってまいります。

それは 『腎は腰の府』 という言葉がありまして、腎が弱ってくると後ろの腰も弱ってきます。慢性的に腰痛が起こって、何か重たい物を持った拍子にぎっくり腰を起こしたりするんですね。姿勢もどうしても前かがみになります。 足腰が弱ってわずか 2~3 センチの敷居にけつまづいたりします。ほんのちょっとなんですが足があがってないんですね。西友やサティの辺りには歩道があるんですが、ブロックが浮いている所があります。そういった所、つまずきやすくなります。

それと年齢をとってくると人の名前、物の名前が出てきません。これは私と家内のつい一週間前の会話なんですが、『今日、駅であの人におうたんやけど、あの人誰やったかいな?』 『そんなんでわかるはずないやろ!』 『確か並河の人で以前 PTA の役したはって、背の高い、男前の人や!』 『○○さん事かいな?』 『あー、そやそやその人や!』 『名前わからんままに挨拶だけはしといたけど・・・』 『あんた、絶対どっか詰まっているわ!』 ときつい一発が返ってきましたけど、残念ながら、なかなか人の名前が出てきません。

これは、『腎は骨を司る』 という言葉がありまして、年齢を取ると骨が弱って、骨粗しょう症という骨にスが入ってスカスカになる病気になってしまうんですね。この骨なんですが、脳髄も意味します。『骨の髄まで』というような言い方をしますが、背骨の先は脳髄まで行くんですね。腎が弱ってくると、脳髄のほうもよわってきて、記憶力も衰えてくる、それが進めばボケになる。そんなこともはいっているわけです。

『腎は水を司る』 というという言葉があります

それは、年齢をとってくると、何かにつけて枯れてきます。私の一年先輩で薬大の教授をされている人がいるんですが、今までだったら、 90分の講義も平気だったのが、この頃、口が渇いて、渇いて、途中で水飲まんなん!とおっしゃっておりました。さらに、お肌に何となく潤いが無くなる。特に冬場は老人性皮膚ソウヨウショウと申しまして、お肌がカサカサして痒くてたまらない、掻くと粉が落ちる、このような事がおこります。

歳を取ってくると水分を保てないんですね。こんな場合にも八味丸がよろしうございます。

お年寄りのお宅を訪問すると四月になってもまだストーブが焚いてある。さらに春になってもまだバッチが必要になる。年齢をとりますと、体が冷えてこんな状態になります。

これはどういう事かと申しますと、これを分かりやすく例え話で申します。皆さん、昔の五右衛門風呂を思い出してください。水戸黄門のテレビを見ておられる方は由美かおるさんの入浴シーンを思い描いてください。湯桶に水が張られている。下から蒔きでくべる。そして、湯気が立ち上る。この湯気は温かみがあって、潤いがあって、そしてパワーを秘めている。この湯気のようなものが、若い頃は体じゅう巡っている。だから元気です。ところが、年齢とともに、それが少なくなります。

だんだん老化現象が現れてくるんですね 。

水も一杯に張る、火力も強い、こういう状態でしたら、湯気も一杯発生します。元気な状態です。ところが、水が少ないとすぐに沸きますが、後が続きません。よく、お年寄りで顔だけ火照る、足の裏だけ火照って気色悪いとおっしゃる方がありますが、それこれなんですね。

お水はいっぱいはったんやけれど火力が弱い場合があります。そうするとなかなか沸きませんよね。湯気が発生しない。からだが何となく寒い。こんな状態になるわけであります。そんな時は八味丸です。

八味丸は水もたくさん貯える、火力も強くする、そして十分、湯気を作って体中に巡らすそんな働きをする漢方薬です。

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